若き日の思い出 その一 先生への 面白話の催促 by 相原
2010-04-07


                               平成224

  若き日の思い出 その一先生への 面白話の催促

                               相 原 孝 志

高校時代、教室の暖房としてストーブはあったものの、石炭などの立派な燃料はなく自分たちが山で集めてきた松笠が唯一のものだった。火力は弱く、教室内でもオーバーコート着用が許されていたのである。しかも当時は今と比べ寒い日が多く、雪道で自転車が使えぬ日が時々あったのを思い出す。そんな寒い日、授業開始前に黒板を雪で濡らしておくのである。ただこれは闇雲に行うのではなく、特定の先生のときだけの話である。先生の中には偶に予定の教科ではなく、生徒たちの興味のある話をしてくれる先生がいたものである。その先生の授業がやってくると、面白い話をしてもらうべく担当教科の授業が出来ないような悪巧みをして先生の登壇を待つのである。その一つが黒板の雪拭きなのであった。先生にはストーブの燃えが悪く煙で黒板が濡れてしまったのです、ついては今日は先日の面白い話の続きを聞かせてほしいのですと口達者な代表が先生にお願いするのです。ではそうするかと先生が言われればしめたもの、居眠りする不埒者など一人もおりません、身を乗り出して聞き入ってしまうのです。何かその面白い話の方が私たちにとって意義多かったように思われたものです。

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